1970年を中心に様々な音楽シーンで活躍したRhodes、Wurlitzerなどのエレクトリックピアノ。これらの楽器は…と、語り出すとこのページが終わってしまいますので、これらのお話は過去の記事をご覧になってください。
今回始めましたこのシリーズは、補修メンテナンス、調整を中心にご紹介させていただきます。
題して「甦れ!ヴィンテージ・エレピ」
神田小川町にある当店ではヴィンテージエレピの販売をしているのですが、当然のように修理メンテナンスも行っています。そこで重要になってくるのがリプレイスメント・パーツ、交換補修部品です。今回はRhodesピアノの部品をいくつかご紹介させていただきます。
ハンマーチップ Hammer Tip
鍵盤を弾いて、ハンマーが跳ね上がり、トーンジェネレーター(Tine)を叩くところにハンマーチップがあります。1970年以降ハンマーチップはゴム製のものです。高音部は木製のチップにゴムシートが巻きつけてあります。
*1960年代は三角形のようなフェルト→アコースティックピアノのようなティアドロップ型フェルト→キューブフェルトと変化していき、ついには素材をゴムに変更。現存するRhodesのほとんどはゴムチップです。
これらが消耗して変形していたり、なにかのはずみで欠落してしまったりします。成形直しや、交換を行います。現在でも新品の部品(レプリカ)がつくられています。
1975年ぐらいを境に前後期でゴムチップの形が違い、さらにRhodesピアノ一台の中に形と硬さの違うものが5種類使われています。低音部は柔らかいもの、高音に向かって硬くなっていきます。チップの硬さの境目ではサウンド感が少し変わります。演奏者のサウンド感のこだわりによりハンマーチップの境目の設定位置を変更することも可能です。
トーンジェネレータ Tone Generator
ハンマーチップで叩かれ振動して音を発する部分です。直方体の金属ブロックに丸棒(Tine)が刺さっている部品です。
音階により長さが違い、丸棒の先にバネのようなチューニングスプリングがついています。トーンバー(音叉のような共鳴棒)にボルトで固定されています。
尋常ではない強い鍵盤タッチで折れてしまうことがあります。または上記のハンマーチップの不具合により通常のタッチでも折れてしまうことがあります。劣化により響きが弱くなったり、振動が持続しなくなったりすることもあります。
その場合は交換します。
新しいものを規定の長さにカットして、5/16インチのボックスレンチでボルトを外し交換します。交換後は音色を整えるための調整、調律を行います。
当店には、当時の交換用保管在庫ストレージド・ストックがまだあります。
1960年代のトーンジェネレータはTineの太さ(根元のシェイプ)が少し違います。これはとても希少部品で、中古品ではありますが補修用にストックがあります。
ピックアップ Pickup
Tineの振動(音)を拾い電気信号に変える部品です。コイル型のもので、多くのエレキギターで使用されているものとほぼ同じ方式です。1つの鍵盤に1個ずつあります。73keyRhodesには73個ついています。コイルが断線するとスピーカーアンプに音が伝わりません。1個壊れた場合そのkeyだけ音が出ません。もし回線上おなじグループの並んだ3個のピックアップが壊れた場合、73鍵盤全ての音が出なくなります。ピックアップの部品交換にて対処します。配線ハンダつけ2箇所、取り付けネジ(1/4インチ頭)の脱着を行います。
現在でも新品の部品(レプリカ)がつくられています。1973年ぐらいを境にピックアップの取り付け部金具の長さが違います。
他にも、トーンバーブッシング、ミュートフェルト、鍵盤ピンフェルト、ペデスタルフェルト、スペーサー、トーンバークリップ等いろいろありますが、またの機会にご紹介させていただきます。
ご使用されているRhodesピアノの部品に不具合があった場合、交換修理を行っています。修理持ち込みは事前にお申し込みをお願いします。ご自身で交換修理を行う方にはパーツの販売を行っています。現在、webオンラインショッピングには登録していないので、直接メールにてお問い合わせください。
リペアマン
- 2018.12.29 Saturday
- 修理