この記事は2016.03.19 Saturdayに書かれたものです。
アート集団STANDUINOのメンバーが立ち上げたハンドメイド電子楽器ブランド
[Bastl Instruments]のモジュラーシンセシステム[RUMBURAK]のデモ機を先日お借りしました。
構成としてはポピュラーなシンセサイザーとは一味違いサンプラー、ドラムモジュール等がマウントされています。
今回は[RUMBURAK]の内容を紹介していきます。
[RUMBURAK]の全体の写真です。
木製のケースは52HPx2段で左上には14HPのブランクスペースがあり後からモジュールを追加することができます。
画像はブランクパネルを外したところです。
マウントネジはM3でネジの頭が六角のもので固定されています。
木製パネルのためピッチリマウントされているのでブランクを外す際は他のモジュールも幾つかネジを緩めたほうがいいと思います。
中を覗くとユーロラック規格共通の16ピンBus端子があります。
それでは右上からモジュールを見ていきましょう。
ABCDEと書かれたモジュールは[LITTLE NERD]はコンパクトながら
クロックディバイダー・マルチプライヤー・トリガーリピーター・ユークリッドシーケンサ等を5系統別々に設定できるクロックモジュレーターです。
DEのチャンネルはABCと異なるクロックをソースとすることも可能で二つのクロックのミックスバランスをツマミで設定することが可能です。
その隣の7セグLEDがついているモジュールは[GRANDPA]です。
マイクロSD内に保存したサンプルをプレイバックできるグラニュラーサンプラーモジュールです。
ツマミは2つしかありませんがボタンを押すことによりLEDの色が4色に変わり8つのパラメーターをエディットできます。
トリガーボタン&入力は2つありモノフォニックですがそれぞれ個別の音色・設定をすることが可能です。
1つあるCVインプットは好きなパラメーターにアサインが可能です。
端が少し見切れているKと書かれたモジュールはドラムモジュールの[TEA KICK]です。
アナログ回路で作られたドラムサウンドは歯切れのよいパーカッシブなサウンドが作り出されます。
アタック時に鳴るクリック音用のフィルターも搭載しているので柔らかい感じからアタック感のあるサウンドと幅広い音作りが可能です。
ツマミの設定によりオシレーターのように発振させることも可能です。
クリック音とキック音は個別に出力することも可能で、さらに矩形波のアウトも装備しています。
Tuneは外部CVによるコントロールも可能なので高速LFO等を繋いでFMサウンドを作り出すこともできます。
縦に4つ銀のキャップノブが並んだモジュールはアナログフィルターの[CINNAMON]です。
ローパス・バンドパス・ハイパスのマルチモードフィルターです。
自己発振ももちろん可能でその場合上記のフィルター順に0°・90°・180°の角度違いのサイン波を各ジャックから出力します。
キャラクターというスイッチでレゾナンスのカーブ・発振時の波形を変更できます。
入力段に掛かるオーバードライブも装備。
オーディオ入力にはアッテネーターが付いているのでフィルター内でのサチュレーションを抑えたクリーンなサウンドも作れます。
ABCDEFと書かれた黒いツマミが6つ並んだモジュールは見た目の通りの名前の[ABC]です。
6チャンネルのミキサーモジュールでABCとDEFチャンネルを別々に出力することも出来3ch. x2のミキサーとしても使うことが出来ます。
工場出荷時の状態ではACカップリングのためオーディオ信号をミックスするのに向いています。
その左にある大きめのモジュールは4チャンネルVCAの[QUATTRO FIGARO]です。
一つのチャンネルに入れたCVが内部結線により隣のチャンネルに送られることによりクロスフェードやパンニング等をすることが可能です。
全チャンネルのCVインにはインバーターもついており入力したCVを反転させることも可能。
アウトプットは個別のアウト以外にミックスされたものもあります。
QUATTRO FIGAROの隣でまるで同じモジュールの一部のように馴染んでいる細いモジュールはマルチプルの[MULTIPLE]です。
信号を分岐する時に使用します。
ケースの右下にうつり、32個のボタンと7つのジャックがならんだ[KNIT RIDER]はGateシーケンサーモジュールです。
外部クロックだけでなくインターナルクロックも装備しており、タップテンポあるいはBPMを2づつ上下させることが可能です。
ボタンパネル下部の4x4の16個のボタンでシーケンスを打ち込んでいく分かりやすいスタイルですが、その上に横に4つ並んだBARボタンで最大64ステップのシーケンスを打ち込むことが可能です。
トラックの出力は個別にGate/Trig出力の切り替えが可能です。
さらに各ステップには4段階のサブステップがあり、Trigモード時は16ステップ以下の分解能能フラムのような打込み、Gateモードでは4段階のゲートレングスを設定することができます。
トラックごとのミュートやパターンのコピー&ペースト、入力データの保存・クリア等、ボタンのコンビネーションが若干複雑ですが便利なシーケンサーです。
小さいですがパネル上にも同時押し時の機能は書いてあるのでマニュアルがなければサッパリわからん!というわけでもありません。
その横には2つ目の[TEA KICK]がマウントされています。
TEA KICKの横にあるN2と書かれているモジュールは[NOISE SQUARE]です。
ホワイトとピンクの2種類のアナログノイズとデジタルノイズ、シンプルな矩形波、
2つの音が重なった矩形波のCow、6つの音が重なった矩形波のMetalic
の計6種類の音を出力します。
MetalicはTR-808のシンバル回路にインスパイアされた出力です。
Cowは文字通りカウベルの音を作るのに向いています。
アナログノイズ以外の出力はツマミと外部CVによりピッチがコントロール可能です。
細くてジャックしかないモジュールはパッシブフィルターの[PROPUST]です。
CRフィルターという抵抗とコンデンサーを使ったシンプルな電源不要のフィルター回路を採用したモジュールです。
3種類のカットオフ周波数のローパス・ハイパスアウトを持っています。
パッシブのため音量が落ちます。
その隣にある二つのモジュールは同じモデルで[SKIS]です。
ディケイのみのエンベロープとVCAを二系統もつパーカッションを作るのに最適なモジュールです。
VCAセクションは何もパッチングしなければ内蔵のディケイEnv信号が送られ、外部のCVをパッチングすればVCAを独立してコントロールすることができます。
VCAのキャラクターを変えるCrunchスイッチを装備。
NOISE SQUAREと組み合わせて使うのがおすすめです。
星形のような模様の上に6つのジャックが並んでいるのが個人的に一番気に入った[CV TRINITY]です。
32ステップのCVノブレコーダー・LFO・Envを個別に設定して6つ出力することができる多機能モジュールです。
ジャック部分は左がCV入力、右が出力となっています。
6つのチャンネルの選択方法はジャックの間にある上下のLEDでジャックの^状に並んだジャックの上下を選択し、四角い黒いスイッチでその3つのうちのどれかを選択します。
わかりやすいようなわかりにくいような選択方法に好感を持ちました。
中央に輝くLEDの色で現在のモードを確認できます。
各チャンネルの出力の他にSelect Outというジャックが左上にあり、そこからは現在選択されているチャンネルのCVが出力されます。
コレを利用すれば複数の速さのLFOを予め設定しておき、瞬時に切り替えて出力させることもできます。
RUMBURAKだけでゼロからパッチングをして音を出してみた動画がコチラ。
触ってみた感想はパーカッシブなサウンドに特化した印象の音源類で通常のステップシーケンサーでは難しいクロック以下の速さの分解能のリズムを鳴らしやすい構成だと思いました。
グラニュラーサンプラーのGRANDPAをうまく使えばアンビエント系ドローンもできます。
欲を言えばリバーブくらい掛けたくなりますが、そこはエフェクトモジュールの追加あるいは外部のエフェクターを繋げばよいかと。
木製パネルという見た目の統一感から他社製品と並べると違和感が出るかな?とも思いましたがひとつのメーカーのみで組まれたシステムを使いこなしたいと思わせる良いシステムだと思います。
近日中に常設で展示を置く予定ですので気になる方や他のモジュールとの組み合わせを試したい方はお気軽にご来店ください。
Wak
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- 2016.03.19 Saturday
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